2018年2月 5日 (月)

所得拡大促進税制は30年度税制改正で大きく変わる

★ 所得拡大促進税制は中小企業者等向けと大企業向けとで異なる制度になる 平成25年度税制改正で設けられた所得拡大促進税制は、平成30年3月末で適用期限が到来することから、平成30年度税制改正で、その内容が大きく改正された上で、継続されることとなりました。 改正後の所得拡大促進税制は、中小企業者等向けと大企業向けとで、大きく内容が異なることになります。 中小企業者等向けについては、要件を見直した上で控除額が大きくなり、さらに一定の要件を満たした場合には、控除額がより大きくなる仕組みになっています。 大企業向けについては、要件を厳しくした上で控除額が大きくなり、さらに一定の要件を満たした場合には、控除額がより大きくなる仕組みになっています。

★ 計算は比較的簡素になる ① 控除額の基準 今までの制度では、基準事業年度における基準雇用者給与等支給額が、控除額の基準とされていましたので、一般的には平成24年度分の雇用者給与等支給額を、常に把握しておく必要がありました。 しかし改正後は、前年度の雇用者給与等支給額を上回る部分が、控除額の基準とされますので、計算は簡素になると思われます。 ② 継続雇用者の範囲 今までの制度では、当年度及び前年度において給与等の支給を受けた者を継続雇用者としていましたので、期中に就職・退職した者、期中に雇用保険の一般被保険者に該当することになった者や該当しなくなった者、期中に継続雇用制度の対象になった者などを確認し、その上で各人別に各月の支給額を確認する必要がありました。 しかし改正後は、前年度と当年度の全期間の各月において給与等の支給を受けた者が対象になりますので、期中の異動は考慮しなくてもよく、継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の計算が大きく簡素化されると思われます。 ③ 継続雇用者がいない場合 今までの制度では、継続雇用者がいない場合であっても、平均給与等支給額が対前年度よりも増加するようになっており、継続雇用者がいない場合でも適用できました。 しかし改正後は、継続雇用者がいない場合には適用できなくなりますので、設立事業年度や、雇用者の全員が入れ替わるような場合には、そもそも適用できなくなります。

★ 中小企業者等向けの制度の概要 中小企業者等向けの所得拡大促進税制は、平成30年度改正によって次のようになります。 ① 適用要件 継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の前年度に対する増加割合が1.5%以上であることとされます。 ② 税額控除額(原則) 税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%とされます。 ③ 税額控除額(特例) 次の要件イ、ロをいずれも満たす場合には、税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の25%とされます。 イ 継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の前年度に対する増加割合が2.5%以上であること。 ロ 次のいずれかに該当すること。 (イ) 当年度の教育訓練費(※)の額が、前年度に対して10%以上増加していること。 (ロ) 事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。 ※ 教育訓練費とは、次の費用をいいます。 ⅰ その法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用 ⅱ 他の者に教育訓練等を委託する場合の委託費 ⅲ 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の参加に要する費用 ⅳ 教育訓練等とは、教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいいます。 ④ 税額控除限度額 税額控除額は、法人税額の20%が上限とされます。 ⑤ 大法人向けの制度との選択 中小企業者等であっても、大企業向けの制度を選択することができます。 ⑥ その他の見直し イ 設立事業年度は適用できません。 ロ 地方活力向上地域等において雇用者数が增加した場合の税額控除制度を受ける場合は、現行と同様の調整を行います。 ハ 継続雇用者の範囲について、当年度及び前年度の全期間の各月において給与等の支給を受けた雇用者で、一定のものとするほか、所要の措置が講じられます。 ニ 継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさないこととされ、制度の適用をうけることができません。 ⑦ 個人課税への適用 所得税においても、従業員1,000人以下の個人事業者を対象に、同様の制度が設けられます。

★ 大企業向けの制度の概要 大企業向けの所得拡大促進税制は、平成30年度改正によって次のようになります。 ① 適用要件 次のイ、ロのいずれも満たすことが必要とされ、例えば減価償却費の総額が1千万円であれば、900万円以上の国内での新規設備投資が必要になります。 イ 継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の前年度に対する増加割合が3%以上であること。 ロ 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であること。 ② 税額控除額(原則) 税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%とされます。 ③ 税額控除額(特例) 当年度の教育訓練費(※1)の額が、比較教育訓練費の額(※2)に対して20%以上増加している場合には、税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の20%とされます。 ※1 教育訓練費とは、次の費用をいいます。 イ その法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用 ロ 他の者に教育訓練等を委託する場合の委託費 ハ 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の参加に要する費用 ニ 教育訓練等とは、教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいいます。 ※2 比較教育訓練費の額とは、前年度及び前々年度の教育訓練費の額の年平均額をいいます。 ④ 税額控除限度額 税額控除額は、法人税額の20%が上限とされます。 ⑤ その他の見直し 中小企業者等向けの⑥をご覧ください。 ⑥ 個人課税への適用 所得税においても、従業員1,000人超の個人事業者を対象に、同様の制度が設けられます。

★ 適用時期 法人は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から、個人事業者は、平成31年分から適用されます。 提供:税経システム研究所

2018年1月31日 (水)

国税庁が医療費控除に関する手続Q&Aを公表


                                                                                                                                                                                         

                                                               

                               
                                 

国税庁は1月4日、平成29年分以後の所得税等の確定申告に向けて、医療費控除の適用を受ける場合の従来と異なる事項に関する「医療費控除に関する手続について(Q&A)」を公表した。

 

Q&Aは15問で、平成29年分の所得税等の確定申告から領収書の提出等に代え、医療費控除の明細書の添付が原則となる取扱いの疑問点を明らかにしている。

 

平成29年分以後の所得税等の確定申告で医療費控除の適用を受ける場合は、原則として医療費の領収書に基づいて必要事項を記載した「医療費控除の明細書」を申告書に添付して提出し、医療費の領収書を申告期限から5年間保管する必要がある(Q1)。

 

経過措置として、平成29年から平成31年までの各年分は領収書を申告書に添付等することもできるが、医療費控除の明細書を添付する原則的取扱いと、領収書の添付等の経過的取扱いは一方を選択することから(Q2注意書)、両方が“混在”した取扱いはできない。

 

また、「おむつ使用証明書」なども、証明年月日、証明書と証明者の各名称を「医療費控除の明細書」の欄外余白等に記載することで申告書への添付等を省略できる(Q4)。

 

今回の申告から、医療保険者が発行する次の6項目を記載した「医療費通知」を添付する場合には、医療費控除の記載を簡略化でき、領収書の5年間保存は不要となる。

 
 
① 被保険者等の氏名
② 療養を受けた年月
③ 療養を受けた者
④ 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
⑤ 被保険者等が支払った医療費の額
⑥ 保険者等の名称
 
 

自由診療に区分される診療や薬局での医薬品の購入など医療費通知に記載のない医療費の支払いがある場合には、これらの医療費に係る領収書に基づき、医療費控除の明細書に記載する必要がある(Q7)。

 

また、自治体等により医療費の助成等を受けて窓口で自己負担額を減免されるケースもある。その金額が医療費通知に反映されていない場合は減免分を除き、実際に負担した医療費の額に基づいて計算し、医療費通知に減免分がある旨を付記したうえで医療費控除の明細書と医療費通知を申告書に添付する(Q8、9)。端数処理により医療費通知に記載された負担額と実際の負担額が異なる場合の取扱いも示された(Q10)。自己負担額(1~3割)の記載がなく、医療費総額(10割分)のみが記載された医療費通知は申告書に添付できない(Q11)。

 

このほか、医療費通知に記載されている医療費のうち「療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称」が空欄である場合には、このままでは医療費控除の対象外なので、領収書に基づいて記載した「医療費控除の明細書」を申告書に添付して医療費控除を受けることとなる(Q12)。医療機関等の名称を医療費通知に補完記入する方法も示された(Q13)。

                                  
                                                                 

提供:株式会社税務研究会

2018年1月25日 (木)

法定相続人と相続人とで異なる相続税法上の取扱い


                                                                                                                                                                                         

 

                              
2018/01/24 著者 :  尾崎三郎
                                                             
                               

相続税の取り扱いにおいて「法定相続人」と「相続人」とで取り扱いを異にしている事項があるので、それについて次の〔設例〕に基づいて説明する。

 

〔設例〕

 

 
                                 

備考1 被相続人Aには妻も子もいない。

                                                                    

2 父甲は、被相続人Aが保険料の全額を負担していた生命保険契約の死亡保険金を取得しているが、正式に家庭裁判所に申述して相続を放棄している。

                                                                    

3 妹Bも上記の死亡保険金を取得している。また、妹Bは障害者である。

                                                                    

4 弟Cは未成年者(20歳来満)である。

                                  
 

1 生命保険金の課税(非課税の適用と非課税限度額の計算)

 

(1)父甲は民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人であり法定相続人であるが、相続を放棄しているので相続人には該当しないため、取得した保険金は遺贈により取得したものとみなされ、非課税の規定(相法12①五)は適用されない。

 

(2)妹B及び弟Cは、先順位の相続人である父甲が相続を放棄したため、兄弟姉妹として相続人となるので、取得した保険金は相続により取得したものとみなされて非課税の規定の適用を受けることができる。

 

(3)生命保険金の非課税限度額の計算における500万円に乗じる相続人の数は、相続税法第15条第2項〔遺産に係る基礎控除〕に規定する相続人(いわゆる法定相続人)の数とされているので、法定相続人である父甲1人で500万円となる。

 

参考 退職手当金の場合も同様である。

 

2 遺産に係る基礎控除

 

遺産に係る基礎控除額を計算する場合の600万円に乗じる相続人の数については法定相続人の数とされていることから、相続人妹B及び弟Cの2人ではなく父甲1人で、3,000万円+600万円×1=3,600万円となる。

 

3 相続税の総額の計算

 

相続税の総額の計算においても、法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとした揚合の各取得金額とされているので、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した残額のすべてを法定相続人である父甲1人が取得したものとして税率を適用することになる。

 

4 未成年者控除

 

相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の法定相続人に該当することが要件の一つとされていることから、相続人であるが法定相続人でない弟Cは適用を受けることができない。

 

5 障害者控除

 

障害者控除についても法定相続人であることが要件の一つとされていることから、妹Bは適用を受けることができない。

 

6 相続税額の加算

 

相続税額の2割加算の規定は相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の1親等の血族及び配偶者以外の揚合に適用があるので、2親等の血族である兄弟姉妹が法定相続人である相続人の場合でも適用がある。また、1親等の血族である者が相続を放棄している場合で遺贈により財産を取得しても適用はない。なお、1親等の血族が死亡していて代襲相続人となった直系卑属(孫やひ孫)は1親等の血族に含められ適用はない。また、被相続人の直系卑属が養子となっている場合は、その養子については代襲相続人となっているときを除き1親等の血族に含まないものとされ適用を受けることになる。

                                                                 

提供:税経システム研究所

2017年12月23日 (土)

事業承継税制の特例の創設、100%納税猶予に引上げ


                                                                                                                                                                                         

 

                              
                                                             
                                                                                                 
                                 

2018年度税制改正において、事業承継税制は10年間の特例措置として、各種要件の緩和を含む抜本的な拡充を行う。基本は、施行日後5年以内に承継計画を作成して贈与・相続による事業承継を行う場合とし、まず、猶予対象の株式の制限(発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合80%を100%に引き上げることにより、贈与・相続時の納税負担が生じない制度とする。

 

具体的には、「特例後継者(仮称)」が「特例認定承継会社(仮称)」の代表権を有していた者から、贈与又は相続等によりその特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予する。「特例認定承継会社」とは、2018年4月1日から2023年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出した会社をいう。

 

次に、承継後5年間で平均8割の雇用を維持するという雇用確保要件を緩和するとともに、2名又は3名の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大し、経営環境の変化に対応した減免制度を創設して、将来の税負担に対する不安に対応する等の特例措置を講ずる。雇用確保要件の緩和は、要件を満たせない場合であっても、その理由を記載した書類を都道府県に提出することで、納税猶予の期限は確定しないこととする。

 

また、現行制度では筆頭株主のみが相続税の猶予対象となるが、筆頭株主以外にも最大3名まで猶予する。そのほか、現行制度では会社を譲渡・合併・解散した場合には、納税猶予税額を全額納付する必要があるが、経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特例承継期間経過後に、会社の非上場株式の譲渡や合併による消滅、会社を解散するときは、その時点での株式評価額で税額を再計算して一定範囲で猶予税額を減免する。

 

「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」とは、直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社が赤字の場合や売上高がその年の前年の売上高に比べて減少している場合、直前の事業年度終了の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が、その日の属する事業年度の売上高の6月分に相当する額以上ある場合、などをいう。これらの改正は、2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与等に適用する。

                                                                    

提供:株式会社タックス・コム

2017年10月18日 (水)

国税庁 医療費控除に関する明細書の確定様式を公表

                                                                                             
                                 

国税庁は、平成29年分以後の所得税の確定申告書(平成30年1月1日以降に提出するもの)で医療費控除の適用を受ける場合に添付が義務化される「医療費控除の明細書」の確定様式と記載要領を同庁HPにおいて公表した。また、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制の明細書と記載要領も併せて公表した。

 

医療費控除の明細書は、①医療費通知に関する事項、②医療費(①以外)の明細、③控除額の計算の3区分で構成。支払った医療費の合計額から保険金などで補填される金額を差し引いて医療費控除の対象となる金額を求め、最終的に医療費控除額を求める仕組みだ。

 

医療費控除とその特例であるセルフメディケーション税制は、いずれか一方の選択適用となる。「医療費控除の明細書」では、二重控除の誤りを事前に防止するため、タイトルの下に「※この控除を受ける方は、セルフメディケーション税制は受けられません」の文言を様式案から追加。記載要領においても、医療費控除を受ける方は、セルフメディケーション税制を受けることができない旨を留意的に示している。

 

一方、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合には、特定一般用医療品等購入費の領収書の添付又は提示に代えて、特定一般用医薬品等購入費の明細書を確定申告書の提出の際に添付しなければならない。

 

セルフメディケーション税制の明細書については、①申告する方の健康の保持増進及び疾病の予防への取組、②特定一般用医薬品等購入費の明細、③控除額の計算の3区分で構成されている。同特例の適用には、健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行う必要があるが、その取組に要した費用は控除対象とならない旨を示している。

 

また、同明細書においても、医療費控除の明細書と同様に、二重控除の誤りを事前に防ぐため、タイトルの下に「※この控除を受ける方は、通常の医療費控除は受けられません」と明記するとともに、記載要領でその旨を留意的に示している。

 

医療費控除又はセルフメディケーション税制の適用に当たっては、前述のとおり確定申告書の提出の際に明細書の添付が義務化されたが、医療費又は特定一般用医薬品等購入費の領収書については、確定申告期限等から5年間保存する必要があり、税務署長から求められたときは領収書の提示又は提出が義務付けられる。

 

なお、平成31年分の確定申告までは、経過措置により、領収書の添付または提示によることもできる。

                                                                    

提供:税務研究会・税研情報センター

                                  

2017年9月 4日 (月)

「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」を公表

                                 

国税庁はこのほど、相続税申告書を作成するに当たり誤りやすい項目について事例形式で紹介した「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」をホームページ上に公表した。 事例集には、申告書第1~14表中における誤りやすい事例として14事例を掲載し、それぞれ間違って記載した明細書・計算書等の下に正しく記載した明細書・計算書等を掲載するレイアウトを用いて、分かり易く見やすいものとしている。

 

事例集には、「被相続人の兄弟姉妹や孫が相続した場合など相続税の2割加算の対象となる場合」や、「被相続人以外の名義の預貯金がある場合」、「所得税の準確定申告をして還付金を受領している場合」、「支給されていなかった年金を受け取った場合」、「お墓の購入費用に係る借入金や未納の固定資産税・住民税がある場合」などのほか、特にトラブルの多い生命保険税務に関する事例も複数盛り込まれており注目度が高い。

 

生命保険関係において手厚くカバーされているのは、「保険事故が発生していない生命保険契約」だ。親が契約者、子が被保険者というケースや、子が契約者及び被保険者で親が保険料負担者というケースでは、親が死亡しても保険金が支払われないが、解約返戻金等相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続財産やみなし相続財産となり相続税の課税対象となる。

 

しかし、保険金が支払われないことから申告漏れが多く、保険会社から支払調書が提出されないため国税当局による把握も難しかった。この点については、2015年度税制改正で支払調書制度の見直しが行われ、2018年1月以降の契約者変更については支払調書の対象に含まれたことから、当局による把握が可能となる。事例集では、こうしたケースについて本来の相続財産とみなし相続財産を別建てで盛り込んでおり手厚く注意喚起をしている。

 

「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」は↓
http://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzoku-ayamarijireishu/ayamarijirei1-14.pdf

                                                                    

提供:株式会社タックス・コム

                                  

2017年8月 2日 (水)

クリニックの消費税

 

(1)課税事業者と免税事業者

 

事業者は国内において行った課税資産の譲渡等について、消費税等を納める義務があります。ただし、その課税期間の基準期間(前々年、法人の場合には前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者(課税事業者を選択した場合を除く)は、消費税等の納税義務が免除されています。

 

なお、その事業年度の基準期間のない資本金等が1,000万円未満の新設法人については納税義務が免除されますが、資本金等が1,000万円以上の新設法人については納税義務が免除されません。医療法人を設立する場合の基金は、資本金等には該当しませんので、基金が1,000万円以上でも設立後の2期は原則として消費税が免税になります。

 

平成25年1月1日以後に開始する事業年度については、前事業年度開始から6カ月間の課税売上高(課税売上高に代えて所得税法に規定する給与等の支払額を用いることができる)が1,000万円を超えると納税義務が免除されなくなります。

 

大規模な設備投資を行い多額の消費税等を支払った場合には、消費税等の還付を受けることができますが、免税事業者は事前に「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に届け出る必要があります。なお、平成22年4月1日以後にこの届出書を提出して100万円以上の固定資産を取得した場合などは、3年間は免税事業者に戻ることができません。

 

平成28年度の税制改正により、平成28年4月1日以後に課税事業者が簡易課税の適用を受けない課税期間中に国内における高額資産(税抜き1,000万以上の棚卸資産または調整対象固定資産)の課税仕入れを行った場合には、その取得があった課税期間を含む3年間は免税事業者となることはできず、簡易課税制度も選択できません。

 

(2)消費税の課税取引と非課税取引

 

消費税の課税対象は、①国内において事業者が事業として対価を得て行った資産の譲渡、資産の貸付け(資産に係る権利の設定、その他他の者に資産を使用させる一切の行為を含みます)及び役務の提供(その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供を含みます)、②保税地域から引き取られる外国貨物とされています。

 

したがって、開業医の診療報酬や自由診療収入・医療用機械の売却収入は、役務の提供及びその付随収入に該当しますので、原則として、消費税の課税の対象となります。ただし、医業関係では次に掲げる資産の譲渡等は非課税とされていますので消費税は課税されません。

 

                                 

①医療の給付等

                                                                    

・国保、社保の窓口一部負担金

                                                                    

・国保、社保の保険請求収入

                                                                    

・労災保険

                                                                    

・自賠責保険

                                                                    

②介護保険サービス

                                                                    

③社会福祉事業等

                                                                    

④助産

                                                                    

⑤一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付け等

                                  

 

(3)仕入税額控除

 

                                 

①原則課税

                                                                    

課税仕入れの消費税額は原則としてその全額が仕入税額控除できますが、課税売上の割合が95%未満の場合には課税売上に対応するものとして個別対応方式・一括比例配分方式により計算した消費税額を仕入税額控除します。

                                                                    

仕入税額控除を受けるには一定の帳簿と請求書等の双方を7年間保存する必要があります。

                                                                    

・診療所においては社保・国保が非課税のため、課税売上割合は95%未満がほとんどです。したがって、仕入税額控除が減少します。例えば、診療所の建物を1億円で建築して800万円の消費税等を支払っても課税売上割合が10%であれば80万円(800万円×10%)しか仕入税額控除できません。

                                                                    

②簡易課税

                                                                    

基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には原則課税に代えて簡易課税が選択できます。

                                                                    

・第5種事業(サービス業等・みなし仕入率50%)

                                                                    

自由診療収入などの診療報酬、健康診断の収入、予防接種の収入、診断書作成手数料、テレビの賃貸料収入、松葉杖の賃貸料収入、差額ベッド収入など

                                                                    

・第4種事業(飲食業等・みなし仕入率60%)

                                                                    

事業用車両の売却収入、医療機器の売却収入、食堂の売上など

                                                                    

・第2種事業(小売業・みなし仕入率80%)

                                                                    

売店の売上など

                                                                    

・75%ルール

                                                                    

診療所の場合には、一般的に第5種事業の課税売上が多く75%ルールを適用すると第5種事業のみなし仕入率50%が全体に適用されて不利になることが多いようです。


                                                                 

提供:税経システム研究所

2017年8月 1日 (火)

私道の評価

<財産評価、相続税>

                                                                 
                                 

財産評価基本通達24(私道の用に供されている宅地の評価)に定める「私道」については、道路としての利用状況や、所有者が自己の意思によって自由に使用、収益をすることに制約が存すること等の事実関係に照らして判断しているところだが、国税庁はこのほど、さきの最高裁判決(2016年(行ヒ)第169号)を受けて、「私道」の評価に関する今後の統一的取扱いをホームページ上で示した。

 

具体的には、今年2月28日の最高裁判決を踏まえ、(1)都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、(2)道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであり、(3)居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されている「歩道状空地」については、評価通達24に基づいて評価することとした。

 

財産評価基本通達24では、私道の用に供されている宅地の価額は自用地の30%で評価、私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは評価しないこととされている。しかし、実務上ではゼロ評価となる私道の範囲は限定的に解釈されておりトラブルとなるケースが多かった。こうしたなか、「歩道状空地」の評価をめぐり争われていた裁判で、最高裁が国税側の主張を認めた二審判決を破棄。高裁に差し戻し現在に至っている。

 

国税庁は、今回示した取扱いは過去に遡って適用されるので、これにより、過去の相続税・贈与税の申告内容に異動が生じ、相続税等が納めすぎになる場合には、所轄の税務署に更正の請求をすることで、その納めすぎとなっている相続税等の還付を受けることができるとしている。なお、法定申告期限等から既に5年(贈与税の場合は6年)を経過している相続税等については、法令上、減額できないこととされているので注意が必要だ。

 

この件については↓
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h29/takuchi/index.htm

                                                                    

提供:株式会社タックス・コム

                                  

2017年7月19日 (水)

配偶者控除等見直しに伴い大きく変わる源泉徴収事務

                                                                                        
  2017年度税制改正において、配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げるなど、配偶者控除・配偶者特別控除が見直された。この改正は、2018年分以後の所得税から適用されることから、同年分以後の所得税の源泉徴収事務が大きく変わりそうだ。まず、合計所得金額が1千万円超の給与所得者は、配偶者控除の適用ができなくなるため、控除対象配偶者の定義が規定し直されている。
 

具体的には、これまでの控除対象配偶者を「同一生計配偶者」に名称変更し、同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1千万円以下である居住者の配偶者を「控除対象配偶者」と規定。さらに、合計所得金額が900万円以下で、生計を一にする合計所得金額が85万円以下の配偶者を「源泉控除対象配偶者」と定義して、配偶者控除又は配偶者特別控除で38万円の満額控除が適用されるものとした。

 

源泉控除対象配偶者は、(1)配偶者特別控除の見直しにより、38万円の控除が適用される配偶者の所得の上限を、合計所得金額85万円以下に引き上げたこと、(2)給与所得者の所得要件(合計所得金額900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1千万円以下の3段階)が導入され、38万円の控除が適用されるには、合計所得金額900万円以下の要件も満たさなければならなくなったことから新設されたものだ。

 

これに伴い、源泉徴収義務者は、従業員が「源泉控除対象配偶者」として配偶者控除の適用を受ける場合、今秋にも扶養控除等申告書の提出を受けた後、来年1月から月々の源泉徴収を行うことになるが、これまでと異なる点は、配偶者特別控除を受ける場合も、従業員の合計所得金額が900万円以下で配偶者の合計所得金額が85万円以下であれば、月々の源泉徴収を行い、年末調整で確定させる“二段構え”で対応することだ。

 

一方、従業員の合計所得金額が900万円以下でも配偶者の合計所得金額が85万円超123万円以下、あるいは、従業員の合計所得金額が900万円超1000万円以下でその配偶者の合計所得金額が123万円以下のケースでは、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用は、年末調整で“一括処理”することになる。整理すると、従来の控除対象配偶者が、「控除対象配偶者」、「同一生計配偶者」、「源泉控除対象配偶者」の3つになる。

                                                                    

提供:株式会社タックス・コム

                                  

2017年6月19日 (月)

印紙税の7号文書に該当するか否かの判断に注意!

    印紙税の第7号文書に該当するか否かの判断には注意が必要だ。同じような請負の契約書なのに印紙が4000円と200円の違いがある。それは印紙税法上の第7号文書である、継続的取引の基本となる契約書に該当するかどうかで違いが生じる。例えば、50万円の請負契約であれば印紙代は200円となるが、第7号文書に該当すると4000円の収入印紙が必要となり、比較すると実に3800円の差が生じることになる。

 

それでは、第7号文書にはどういったものが該当するのかというと、まず、継続的取引の基本となる契約書で、契約期間の記載のあるもののうち、その契約期間が3ヵ月以内、かつ、更新の定めがないものを除くという前提がある。次に、(1)営業者間で締結される契約であること、(2)売買、売買の委託、運送、運送取扱又は請負のいずれかの取引に関する契約であること、(3)2以上の取引を継続して行う取引であること。

 

さらに、(4)2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払い方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうち1以上の事項を定める契約であること、(5)電気又はガスの供給に関する契約でないこと、といった要件がある。結構複雑だが、要件の(2)から分かるように、7号書面の対象となる契約の内容は限られたものになっている。

 

そのほかの主に注目すべき点は、契約期間が3ヵ月超であるかどうか、契約金額の記載があるかどうかだ。仮に、冒頭の例のように50万円の請負契約をした場合、契約期間が3ヵ月を超えて第7号文書で作成した場合は、1通につき4000円の収入印紙が必要になるが、契約期間が3ヵ月以内であれば1通当たり200円で計算することができる。このように、契約期間に着目することで、節約が可能となる。

 

また、第7号文書の要件のうち、売買に関するもので不動産等を対象とするものや運送に関するもの、請負に関するものについては、それぞれ第1号文書又は第2号文書に該当することになるが、記載金額があるものは第1号文書又は第2号文書に、記載金額の計算ができないものは第7号文書にその所属が決定される。したがって、ここでも契約書の記載金額によっては、印紙税の節税が可能となるわけだ。

 

この7号文書に関する判断は迷うことが多く、ケースによってはそのリスクも大きくなる。例えば多数の取引相手と同じ内容の契約を締結する場合に、7号文書に該当しないとして、印紙を貼らない若しくは200円の印紙しか貼らなかったとする。そして何年か経った後の税務調査で、この判断が誤りで、本来は7号文書に該当するので4000円の印紙を貼らなくてはならないとされた場合には、何百もの契約書の印紙税と過怠税を払わなくてはならなくなることも考えられる。

 

印紙税の追徴と過怠税で数百万円ということもあるので、そのようなリスクが想定されるケースでは、本当に慎重な判断が求められることになる。だから、会社と税理士等できちんと検討するのはもちろんだが、そのうえで管轄の税務署にその契約書を持って行って相談することもお勧めしたい。また、取引そのものに支障が出ない範囲で、難しい判断を要する契約内容にはしないという選択肢もある。

                                                                    

提供:株式会社タックス・コム

                                  

«所得拡大促進税制、新設法人は上乗せ措置適用できず

2018年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      

このジローの大学ノートについて

  • ここでは
    新しい税法とか、忘れがちなこととか、何度も確認したいことを記載しています。ビギナーの方にも分かるように説明できることを心がけているつもりです。 自分のノート代わりですので、正確な情報ではない場合もあるかもしれません。説明不足のところがあったり、正確でないところがあったらご指摘くだされば幸いです。

ウェブページ

最近のトラックバック

無料ブログはココログ