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2015年9月 5日 (土)

相続で事業を引き継いだ場合の消費税納税義務に注意!

 相続で事業を引き継いだ場合、特に相続人が事業を行っていなかったり、免税事業者だった場合には、消費税の申告納付をする必要があるのかどうか迷うことも少なくない。消費税法第10条第1項には、納税義務のない相続人が相続によって事業を承継した場合、相続した人ではなく、亡くなった被相続人の基準期間(原則、その年の前々年)にどれだけ課税売上があったかで納税義務の有無を判定する旨が定められている。

 

つまり、相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1000万円を超える場合は、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの納税義務は免除されない。一方、相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1000万円以下である場合は、相続があった年の納税義務は免除される。ただし、この場合であっても、相続人が課税事業者を選択しているときは、納税義務は免除されない。

 

ところで、相続では法定相続人が2人以上のケースはよくある。例えば、消費税の納税義務を判定する基準期間の課税売上が1500万円の事業を、過去において課税売上はない法定相続人2人が相続し、遺言はなく、被相続人が亡くなってから遺産分割が完了するまでは相続人が共同で事業を営んでいたケース。結論からいうと、その相続人は相続があった年分の消費税について納税義務はなく、来年分の消費税から納税義務が生じることになる。

 

消費税基本通達には、遺産分割が実行されるまで、2人以上の相続人により共同して事業を承継していた場合は、亡くなった人の基準期間の課税売上に、共同して相続した相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額とする旨が定められている。この通達に従うと1500万円に各相続人の法定相続分である2分の1を乗じた750万円が相続人2人の基準期間の課税売上となり、納税義務の判定基準である1000万円未満となるため納税義務はない。

 

たとえ、相続した年のうちに片方の相続人が事業については全部相続することが決まったとしても、被相続人が亡くなった直後は誰が事業を相続するか分からず、上記の通達に従って2人とも納税義務はないと判定される。その後同じ年に、片方の相続人が事業の全てを相続するとしても、消費税の納税義務については納税者が事前に予知できるようになっていなければならないことから、そこで再判定を行う必要はないとされている。

 

ただし、次の年については、課税期間の初日である1月1日の前日の段階では、片方の相続人一人が事業を承継されているわけだから、上記の消費税法第10条が適用されて、前年の被相続人の課税売上1500万円が基準期間における課税売上となる。したがって、基準期間の課税売上が1000万円を超えて納税義務者となることが事前に確認できているので、当然に納税義務が生じることになる。

提供:株式会社タックス・コム

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