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2018年1月25日 (木)

法定相続人と相続人とで異なる相続税法上の取扱い


                                                                                                                                                                                         

 

                              
2018/01/24 著者 :  尾崎三郎
                                                             
                               

相続税の取り扱いにおいて「法定相続人」と「相続人」とで取り扱いを異にしている事項があるので、それについて次の〔設例〕に基づいて説明する。

 

〔設例〕

 

 
                                 

備考1 被相続人Aには妻も子もいない。

                                                                    

2 父甲は、被相続人Aが保険料の全額を負担していた生命保険契約の死亡保険金を取得しているが、正式に家庭裁判所に申述して相続を放棄している。

                                                                    

3 妹Bも上記の死亡保険金を取得している。また、妹Bは障害者である。

                                                                    

4 弟Cは未成年者(20歳来満)である。

                                  
 

1 生命保険金の課税(非課税の適用と非課税限度額の計算)

 

(1)父甲は民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人であり法定相続人であるが、相続を放棄しているので相続人には該当しないため、取得した保険金は遺贈により取得したものとみなされ、非課税の規定(相法12①五)は適用されない。

 

(2)妹B及び弟Cは、先順位の相続人である父甲が相続を放棄したため、兄弟姉妹として相続人となるので、取得した保険金は相続により取得したものとみなされて非課税の規定の適用を受けることができる。

 

(3)生命保険金の非課税限度額の計算における500万円に乗じる相続人の数は、相続税法第15条第2項〔遺産に係る基礎控除〕に規定する相続人(いわゆる法定相続人)の数とされているので、法定相続人である父甲1人で500万円となる。

 

参考 退職手当金の場合も同様である。

 

2 遺産に係る基礎控除

 

遺産に係る基礎控除額を計算する場合の600万円に乗じる相続人の数については法定相続人の数とされていることから、相続人妹B及び弟Cの2人ではなく父甲1人で、3,000万円+600万円×1=3,600万円となる。

 

3 相続税の総額の計算

 

相続税の総額の計算においても、法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとした揚合の各取得金額とされているので、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した残額のすべてを法定相続人である父甲1人が取得したものとして税率を適用することになる。

 

4 未成年者控除

 

相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の法定相続人に該当することが要件の一つとされていることから、相続人であるが法定相続人でない弟Cは適用を受けることができない。

 

5 障害者控除

 

障害者控除についても法定相続人であることが要件の一つとされていることから、妹Bは適用を受けることができない。

 

6 相続税額の加算

 

相続税額の2割加算の規定は相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の1親等の血族及び配偶者以外の揚合に適用があるので、2親等の血族である兄弟姉妹が法定相続人である相続人の場合でも適用がある。また、1親等の血族である者が相続を放棄している場合で遺贈により財産を取得しても適用はない。なお、1親等の血族が死亡していて代襲相続人となった直系卑属(孫やひ孫)は1親等の血族に含められ適用はない。また、被相続人の直系卑属が養子となっている場合は、その養子については代襲相続人となっているときを除き1親等の血族に含まないものとされ適用を受けることになる。

                                                                 

提供:税経システム研究所

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