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2018年2月 5日 (月)

所得拡大促進税制は30年度税制改正で大きく変わる

★ 所得拡大促進税制は中小企業者等向けと大企業向けとで異なる制度になる 平成25年度税制改正で設けられた所得拡大促進税制は、平成30年3月末で適用期限が到来することから、平成30年度税制改正で、その内容が大きく改正された上で、継続されることとなりました。 改正後の所得拡大促進税制は、中小企業者等向けと大企業向けとで、大きく内容が異なることになります。 中小企業者等向けについては、要件を見直した上で控除額が大きくなり、さらに一定の要件を満たした場合には、控除額がより大きくなる仕組みになっています。 大企業向けについては、要件を厳しくした上で控除額が大きくなり、さらに一定の要件を満たした場合には、控除額がより大きくなる仕組みになっています。

★ 計算は比較的簡素になる ① 控除額の基準 今までの制度では、基準事業年度における基準雇用者給与等支給額が、控除額の基準とされていましたので、一般的には平成24年度分の雇用者給与等支給額を、常に把握しておく必要がありました。 しかし改正後は、前年度の雇用者給与等支給額を上回る部分が、控除額の基準とされますので、計算は簡素になると思われます。 ② 継続雇用者の範囲 今までの制度では、当年度及び前年度において給与等の支給を受けた者を継続雇用者としていましたので、期中に就職・退職した者、期中に雇用保険の一般被保険者に該当することになった者や該当しなくなった者、期中に継続雇用制度の対象になった者などを確認し、その上で各人別に各月の支給額を確認する必要がありました。 しかし改正後は、前年度と当年度の全期間の各月において給与等の支給を受けた者が対象になりますので、期中の異動は考慮しなくてもよく、継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の計算が大きく簡素化されると思われます。 ③ 継続雇用者がいない場合 今までの制度では、継続雇用者がいない場合であっても、平均給与等支給額が対前年度よりも増加するようになっており、継続雇用者がいない場合でも適用できました。 しかし改正後は、継続雇用者がいない場合には適用できなくなりますので、設立事業年度や、雇用者の全員が入れ替わるような場合には、そもそも適用できなくなります。

★ 中小企業者等向けの制度の概要 中小企業者等向けの所得拡大促進税制は、平成30年度改正によって次のようになります。 ① 適用要件 継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の前年度に対する増加割合が1.5%以上であることとされます。 ② 税額控除額(原則) 税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%とされます。 ③ 税額控除額(特例) 次の要件イ、ロをいずれも満たす場合には、税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の25%とされます。 イ 継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の前年度に対する増加割合が2.5%以上であること。 ロ 次のいずれかに該当すること。 (イ) 当年度の教育訓練費(※)の額が、前年度に対して10%以上増加していること。 (ロ) 事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。 ※ 教育訓練費とは、次の費用をいいます。 ⅰ その法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用 ⅱ 他の者に教育訓練等を委託する場合の委託費 ⅲ 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の参加に要する費用 ⅳ 教育訓練等とは、教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいいます。 ④ 税額控除限度額 税額控除額は、法人税額の20%が上限とされます。 ⑤ 大法人向けの制度との選択 中小企業者等であっても、大企業向けの制度を選択することができます。 ⑥ その他の見直し イ 設立事業年度は適用できません。 ロ 地方活力向上地域等において雇用者数が增加した場合の税額控除制度を受ける場合は、現行と同様の調整を行います。 ハ 継続雇用者の範囲について、当年度及び前年度の全期間の各月において給与等の支給を受けた雇用者で、一定のものとするほか、所要の措置が講じられます。 ニ 継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさないこととされ、制度の適用をうけることができません。 ⑦ 個人課税への適用 所得税においても、従業員1,000人以下の個人事業者を対象に、同様の制度が設けられます。

★ 大企業向けの制度の概要 大企業向けの所得拡大促進税制は、平成30年度改正によって次のようになります。 ① 適用要件 次のイ、ロのいずれも満たすことが必要とされ、例えば減価償却費の総額が1千万円であれば、900万円以上の国内での新規設備投資が必要になります。 イ 継続雇用者に対する雇用者給与等支給額の前年度に対する増加割合が3%以上であること。 ロ 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であること。 ② 税額控除額(原則) 税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%とされます。 ③ 税額控除額(特例) 当年度の教育訓練費(※1)の額が、比較教育訓練費の額(※2)に対して20%以上増加している場合には、税額控除額は、全雇用者に対する雇用者給与等支給額の対前年度増加額の20%とされます。 ※1 教育訓練費とは、次の費用をいいます。 イ その法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用 ロ 他の者に教育訓練等を委託する場合の委託費 ハ 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の参加に要する費用 ニ 教育訓練等とは、教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいいます。 ※2 比較教育訓練費の額とは、前年度及び前々年度の教育訓練費の額の年平均額をいいます。 ④ 税額控除限度額 税額控除額は、法人税額の20%が上限とされます。 ⑤ その他の見直し 中小企業者等向けの⑥をご覧ください。 ⑥ 個人課税への適用 所得税においても、従業員1,000人超の個人事業者を対象に、同様の制度が設けられます。

★ 適用時期 法人は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から、個人事業者は、平成31年分から適用されます。 提供:税経システム研究所

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