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2019年4月

2019年4月 4日 (木)

「欠損金の繰戻し還付」「繰越控除」のどちらが有利?

 
 前年度に黒字だった法人が今期赤字に陥った場合、前年度に納税した法人税の還付が受けられる「欠損金の繰戻し還付」(現行は中小企業者等のみ適用)という制度がある。一方で、この欠損金は、その後9年間(2018年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金は10年)に限り所得金額から差し引くことができる「欠損金の繰越控除」がある。さて、どちらを選択したほうが有利なのか判断に迷うところだろう。

繰戻し還付が得になる場合としては、まず、資金繰りに困っていて急いで資金が必要なケースが考えられる。繰戻し還付は、法人税がキャッシュで戻ってくるので、金利負担を伴う銀行等の借入よりも、資金繰り面では有効だ。そのほか、法人税を支払った事業年度の法人税率が高く、繰戻し還付を受ける年以降の法人税率が低くなるケースや、将来法人の黒字化が当分見込めないケースなどでは、繰戻し還付を受けたほうがよさそうだ。


法人税率に関しては、現在、中小法人の800万円以下の所得に対する軽減税率は19%から15%に引き下げられているので、800万円以下については、軽減される法人税額は繰り越す場合のほうが少なくなっている。しかし、例えば、3月決算の企業で、昨年3月期の所得が800万円で、今年3月期に800万円の欠損金が生じ、さらに来年3月期に2000万円の所得が生じたケースを考えてみると、繰り戻すほうが一概に有利とはいえない。


繰り戻した場合は「800万円×15%」で120万円が還付される一方、繰り越した場合は、2000万円の所得から800万円が差し引けて、800万円を超えたところの税率は23.2%だから、来年3月期に軽減できる法人税は「800万円×23.2%」で185.6万円になる。上記の例では、今までどおり繰り越したほうが有利となる。もちろん、今の状況が大幅に好転する可能性は不透明で、ほとんどの場合は、繰戻し還付を選んだほうが有利となるだろう。


だが、先のことは誰にも予想はできないので、有利不利を一概に判断するのは難しいともいえる。なんとも判断に迷うところである。なお、還付を受けられるのは法人税だけで、地方税は還付されないことに留意したい。法人住民税は、直接キャッシュとして戻してもらえず、欠損金の繰越控除をして、将来の黒字と相殺してゆく。法人事業税は、キャッシュとして戻してもらうことも、将来の黒字と相殺することもできない。


提供:株式会社タックス・コム

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