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2019年6月

2019年6月11日 (火)

民法改正による特別の寄与料の取扱い

  今回の民法(相続法)改正によって、被相続人に対して無償で療養看護等の役務提供をした親族(相続人等を除く)が、相続人に対して寄与に応じた金銭の請求をすることができるものとする「特別の寄与」(民1050条)の制度が新設された。(令和元年7月1日施行)

従来の相続では、たとえば相続人の配偶者が被相続人の看護等に従事貢献したとしても、その配偶者に財産を分与するには、報酬の支払い、遺贈、養子縁組などの手順が必要とされていた。しかし、これらの法的行為を当該配偶者側から被相続人らに要求することは状況的に困難と考えられ、本規定はそうした不公平を是正するために設けられたとされる。

  特別寄与料の支払いが確定した場合、相続人は法定相続分又は指定相続分にしたがって支払いをすることになり、その寄与料は、税制上次のように取り扱われることになる。(平成31年税制改正大綱より)

① 特別寄与者は、特別寄与料の額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税を課する。(※)

② 特別寄与者は、①の事由を知った日から10カ月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。

③ 相続人が支払うべき特別寄与料の額は相続税の課税価格から控除する。


④ 相続における更正の請求の特則等に①の事由を加える。


※ 一親等血族及び配偶者以外の者への相続課税であることから、二割加算(相法18条)の対象となるとみられる。


まだ相続税法による詳細な対応は明らかにされていないが、特別寄与者や相続人へのこうした対応は妥当といえるし、課税の逋脱も生じにくいと思われるが、他にも、相続税額が生じないケース等についても検討をしておく必要がある。


例えば、課税財産が少額、あるいは小規模宅地の特例等の適用により基礎控除額以下となる場合などにおいて、故意に特別の寄与料の発生をさせることが出来たとしたら、相続財産を相続人以外に提供することも可能となる。特別の寄与者は「親族」であれば該当できるため、被相続人の孫からの特別寄与料の請求が認められれば、部分的に相続を一代飛ばすこともできる。


特別の寄与に限らず、民法改正によって起こりうる状況はまだ予見しきれていない。税務関係者はあらゆる事態を想定して、課税の対応を準備すべきことになる。


提供:株式会社日本ビジネスプラン

2019年6月 4日 (火)

飛躍的な増加が期待される「法人向け事業承継税制

 

事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する「法人向け事業承継税制」は、2018年度の税制改正で抜本的に拡充された。中小企業庁によると、拡充前は、年間400件程度の申請だったが、拡充後は、足元(本年2月現在)の申請件数は年間6000件に迫る勢いであり、爆発的に伸びている。今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万が後継者未定という。

こうしたなか、事業承継税制による中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継が期待されている。2018年度税制改正では、10年間(2018年1月1日から2027年12月31日)の特例措置として、各種要件の緩和を含む抜本的な拡充が行われた。基本は、2018年4月1日から2023年3月31日までの5年間以内に承継計画を作成して都道府県に提出した会社(「特例認定承継会社」)が、贈与・相続による事業承継を行う場合に適用される。


事業承継税制の抜本拡充の概要は、(1)対象株式数の上限を撤廃し全株式を適用可能にし、納税猶予割合も100%に拡大することで承継時の税負担ゼロになる。(2)親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象にする。(3)承継後年間平均8割以上の雇用維持要件を未達成の場合でも、猶予を継続可能に。(4)売却額や廃業時の評価額を基に納税額を計算し、承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免する。


旧制度では、経営承継期間中、後継者が自社株式を譲渡した場合や、会社を譲渡・合併・解散した場合には、納税猶予税額を全額納付する必要があった。しかし、改正後は、経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、承継期間経過後に、会社の非上場株式の譲渡や合併による消滅、会社を解散するときは、その時点での株式評価額で税額を再計算して一定範囲で猶予税額を減免する。後継者の将来リスクの軽減が期待できるわけだ。


上記の「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」とは、直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社が赤字の場合や売上高がその年の前年の売上高に比べて減少している場合、直前の事業年度終了の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が、その日の属する事業年度の売上高の6月分に相当する額以上ある場合、などをいうこととされている。


提供:株式会社タックス・コム

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    新しい税法とか、忘れがちなこととか、何度も確認したいことを記載しています。ビギナーの方にも分かるように説明できることを心がけているつもりです。 自分のノート代わりですので、正確な情報ではない場合もあるかもしれません。説明不足のところがあったり、正確でないところがあったらご指摘くだされば幸いです。

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