役員報酬の期中の減額
期中で業績が悪くなり月額の役員報酬を減額する場合は、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない事情があることが必要で、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。(法基通9-2-13)
国税庁のQ&Aでは、次のような場合の減額改定は、通常、業績悪化改定事由による改定に該当することになると考えている。
① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
② 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
③ 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
同族会社の場合は、①のケースは極めて限定的であり、③で対応するのが妥当と考える。
定期同額給与の場合のみでなく事前確定届出給与についても認められている。
ただし事前確定届出給与に係る変更届出書を次のいずれか早い日までに提出する必要がある。(法令69③)
①その内容の変更に関する株主総会等の決議日から1ヶ月を経過する日
②その決議した日後最初に支給日が到来する変更前の事前届出に係る支給日の前日
整備しておくべき書類
(1)減額改定を決議した株主総会議事録又は取締役会議事録
(2)減額改定を決定するに至った業績悪化を裏付ける資料
(3)将来の見通しを検討した収支計画書や損益予想表
蛇足
取締役会議事録の作成は取締役設置会社でない場合どうするか?
ふつう役員報酬は、「株主総会」で“報酬総額”を決め、「取締役会」で“個々の役員への支給額”を決めるが、取締役設置会社でない会社の場合、個々の役員報酬の額は「株主総会」で“個々の額”まで決めるのが基本である。
よって「株主総会」で、「代表取締役に一任する」か、「取締役の協議に一任する」旨の決議をとっておけばいいのか?
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