相続税

2018年6月 7日 (木)

法定相続情報一覧図作成上の注意点

 

                              

                                                             
                               

平成30年度税制改正により、相続税の申告書の添付書類の範囲の改正が行われました。

 

改正前は「戸籍謄本」で被相続人のすべての相続人を明らかにするものの添付が必要でしたが、平成30年4月1日以後は、加えて「法定相続情報一覧図の写し」や、それらの書類のコピーの添付も認められることになりました。

 

ただし、「法定相続情報一覧図の写し」を添付する場合には、いくつかの注意点がありますので確認していきたいと思います。

 

1.法定相続情報証明制度の概要

 

不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要となりますが、近年、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加し、これがいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっていました。

 

そこで法務省において、相続登記を促進するため「法定相続情報証明制度」が新設され、平成29年5月29日から運用が行われていました。

 

相続人は法務局(登記所)に対し、 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等とともに、それらの記載に基づく法定相続情報一覧図(被相続人の氏名・最後の住所・最後の本籍・生年月日及び死亡年月日並びに相続人の氏名・住所・生年月日及び続柄の情報)などの必要書類を提出し、登記官がその内容を確認して認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」を交付します。

 

その申出をすることができるのは被相続人の相続人とされていますが、法定代理人のほか、民法上の親族、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士も代理人となることができます。

 

また、申出をすることができる登記所は、①被相続人の本籍地、②被相続人の最後の住所地、③申出人の住所地、④被相続人名義の不動産の所在地を管轄する登記所のいずれかとされていますが、郵送によることも認められています。

 

交付された「法定相続情報一覧図の写し」が、相続登記の申請手続をはじめ、被相続人名義の預金の払戻し等、様々な相続手続に利用されることで、相続手続に係る相続人・手続の担当部署双方の負担が軽減されます。

 

一覧図の写しは相続手続に必要な範囲で複数通発行可能であり、法定相続情報一覧図の保管期間中(5年間)は再交付することも可能です。

 

ただし、再交付の申出をすることができるのは当初一覧図の保管等申出をした申出人に限られており、他の相続人が再交付を希望する場合は、当初の申出人からの委任が必要となります。

 

なお、主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例は法務局のホームページ

 

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html)で確認することができます。

 

2.相続税の申告書の添付書類としての法定相続情報一覧図作成上の注意点

 

国税庁は、本年4月に相続税の申告書の添付書類の範囲についてのリーフレットを公表しました

 

(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2017/pdf/h30kaisei.pdf)。

 

その中において、「法定相続情報一覧図の写し」を添付する場合の注意点が記載されています。

 

(1)様式について

 

「法定相続情報一覧図の写し」は、図形式のほか、被相続人及び相続人を単に列挙する形式(列挙形式)により作成することが可能です。

 

しかし、列挙形式では相続人の法定相続分が確認できないケースも生じるため、申告書の添付書類として利用する場合は、図形式のものに限られることになります。

 

(2)続柄の記載について

 

相続人である子の続柄については、単に「子」と記載されているだけでは実子または養子のいずれであるかがわからないため、申告書の添付書類として利用できないことになります。

 

戸籍上の続柄(長男・長女・養子など)により記載されている必要があります。

 

なお、被相続人に養子がいる場合、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー可)の添付も必要となりますのでご注意ください。

                                                                 

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2018年5月21日 (月)

一定額を超える弔慰金は退職手当等として課税対象に


                                                                                                                                                                                         

 

                              
                                 

被相続人が生前に勤めていた会社から相続人が受け取る金銭のうち、死亡退職金は相続税の課税対象になる一方、弔慰金は課税されない。弔慰金は、香典や花輪代、葬祭料といった名目で支払われることもあるが、税務上、社会通念上相当と認められるものは所得税や贈与税が課税されないことになっている。そこで、判断に迷うのは「社会通念上相当と認められる金額」の範囲である。

 

相続税基本通達(3-20)では、亡くなった従業員に支給されるべきだった退職手当金や功労金など、その名義のいかんにかかわらず実質上退職手当金等に該当するものを除き、弔慰金として取り扱うこととしている。具体的には、業務上死亡の場合には賞与以外の普通給与額の3年分相当額を、また、業務上の死亡でない場合には、普通給与額の半年分相当額を、非課税となる弔慰金として取り扱うことを定めている。

 

この範囲を超える部分は、相続税の課税対象となる退職手当金等として取り扱うこととしている。仮に、その通達により弔慰金として取り扱われたもののなかに、社会通念上相当と認められる額を超える部分があるとすれば、本来、その部分は退職手当金等として取り扱うべきであり、その通達により弔慰金として取り扱ったものについては、社会通念上相当と認められる範囲内のものである、というのが国税当局の考え方である。

 

つまり、弔慰金は、原則として社会通念上という国民感情の観点から課税の対象とはならないことになっているが、課税されないことを利用して節税として使われることがある。そこで、弔慰金として妥当と判断できる一定の金額は課税せず、超えた部分は過度な弔慰金と判断して、課税対象にしている。そして、弔慰金は従業員の死亡退職に伴い会社から支払われるため、退職手当金等として相続税の課税対象となるわけだ。

 

なお、上記の「業務上の死亡」とは、被相続人が亡くなった原因が業務中に起こったことであり、業務と関係性が深い原因がある場合には業務上の死亡と判断される。例えば、業務遂行中に発生した事故等により亡くなった場合や、出張中に発生した事故等で亡くなった場合、仕事が原因とされる職業病によって亡くなった場合などが該当する。また、通勤途中の災害についても業務上の死亡と判断される。

                                                                    

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2018年4月26日 (木)

4月以後から広がる相続税申告書の添付書類の範囲

 

                              
2018/04/24
                                                             
                                                                                                 
                                 

2018年度税制改正に伴い、相続税申告の添付書類についての改正が行われ、相続税法施行規則の改正により、2018年4月1日以後に提出する申告書から、法務省が行っている「法定相続情報証明制度」で取得が可能な「法定相続情報一覧図」についても、一定の条件をもとに添付書類として認められる。これまで、相続税の申告書には、(1)「戸籍の謄本」で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付しなければならないこととされていた。

 

しかし、4月1日以後は、(1)の書類に代えて、(2)図形式の「法定相続情報一覧図の写し」(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る)、(3)(1)又は(2)をコピー機で複写したもの、のいずれかの書類を添付することができるようになった。被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー機で複写したものも含む)の添付も必要となる。

 

「法定相続情報一覧図の写し」とは、相続登記の促進を目的として、2017年5月から全国の法務局で運用を開始した「法定相続情報証明制度」を利用することで交付を受けることができる証明書のことで、戸籍に基づいて、法定相続人が誰であるかを登記官が証明したもの。相続手続きは、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍関係の書類等一式を何度も出し直す必要がなくなった。

 

今まで、相続人は、遺産(不動産や預貯金等)に係る相続手続きに際し、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係の書類等一式を全て揃えた上で、同じ書類を管轄の異なる登記所や各金融機関など、相続手続きを取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要があった。法定相続情報一覧図の写しは、様々な相続手続きに利用されることで、相続手続きに係る相続人・手続きの担当部署双方の負担の軽減が期待されている。

 

なお、法定相続情報一覧図の写しは、相続人等が、亡くなった人の本籍地・最後の住所地、申出人(相続人等)の住所地などを管轄する法務局のいずれかで、必要種類と合わせて申出をすることで、無料で交付を受けられる。申出の手続きは、相続人のほか、法定代理人、民法上の親族、資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に限る)が代理をすることができる。

                                                                    

この件については↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2017/pdf/h30kaisei.pdf

                                                                    

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2018年1月25日 (木)

法定相続人と相続人とで異なる相続税法上の取扱い


                                                                                                                                                                                         

 

                              
2018/01/24 著者 :  尾崎三郎
                                                             
                               

相続税の取り扱いにおいて「法定相続人」と「相続人」とで取り扱いを異にしている事項があるので、それについて次の〔設例〕に基づいて説明する。

 

〔設例〕

 

 
                                 

備考1 被相続人Aには妻も子もいない。

                                                                    

2 父甲は、被相続人Aが保険料の全額を負担していた生命保険契約の死亡保険金を取得しているが、正式に家庭裁判所に申述して相続を放棄している。

                                                                    

3 妹Bも上記の死亡保険金を取得している。また、妹Bは障害者である。

                                                                    

4 弟Cは未成年者(20歳来満)である。

                                  
 

1 生命保険金の課税(非課税の適用と非課税限度額の計算)

 

(1)父甲は民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人であり法定相続人であるが、相続を放棄しているので相続人には該当しないため、取得した保険金は遺贈により取得したものとみなされ、非課税の規定(相法12①五)は適用されない。

 

(2)妹B及び弟Cは、先順位の相続人である父甲が相続を放棄したため、兄弟姉妹として相続人となるので、取得した保険金は相続により取得したものとみなされて非課税の規定の適用を受けることができる。

 

(3)生命保険金の非課税限度額の計算における500万円に乗じる相続人の数は、相続税法第15条第2項〔遺産に係る基礎控除〕に規定する相続人(いわゆる法定相続人)の数とされているので、法定相続人である父甲1人で500万円となる。

 

参考 退職手当金の場合も同様である。

 

2 遺産に係る基礎控除

 

遺産に係る基礎控除額を計算する場合の600万円に乗じる相続人の数については法定相続人の数とされていることから、相続人妹B及び弟Cの2人ではなく父甲1人で、3,000万円+600万円×1=3,600万円となる。

 

3 相続税の総額の計算

 

相続税の総額の計算においても、法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとした揚合の各取得金額とされているので、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した残額のすべてを法定相続人である父甲1人が取得したものとして税率を適用することになる。

 

4 未成年者控除

 

相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の法定相続人に該当することが要件の一つとされていることから、相続人であるが法定相続人でない弟Cは適用を受けることができない。

 

5 障害者控除

 

障害者控除についても法定相続人であることが要件の一つとされていることから、妹Bは適用を受けることができない。

 

6 相続税額の加算

 

相続税額の2割加算の規定は相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の1親等の血族及び配偶者以外の揚合に適用があるので、2親等の血族である兄弟姉妹が法定相続人である相続人の場合でも適用がある。また、1親等の血族である者が相続を放棄している場合で遺贈により財産を取得しても適用はない。なお、1親等の血族が死亡していて代襲相続人となった直系卑属(孫やひ孫)は1親等の血族に含められ適用はない。また、被相続人の直系卑属が養子となっている場合は、その養子については代襲相続人となっているときを除き1親等の血族に含まないものとされ適用を受けることになる。

                                                                 

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2017年8月 1日 (火)

私道の評価

<財産評価、相続税>

                                                                 
                                 

財産評価基本通達24(私道の用に供されている宅地の評価)に定める「私道」については、道路としての利用状況や、所有者が自己の意思によって自由に使用、収益をすることに制約が存すること等の事実関係に照らして判断しているところだが、国税庁はこのほど、さきの最高裁判決(2016年(行ヒ)第169号)を受けて、「私道」の評価に関する今後の統一的取扱いをホームページ上で示した。

 

具体的には、今年2月28日の最高裁判決を踏まえ、(1)都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、(2)道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであり、(3)居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されている「歩道状空地」については、評価通達24に基づいて評価することとした。

 

財産評価基本通達24では、私道の用に供されている宅地の価額は自用地の30%で評価、私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは評価しないこととされている。しかし、実務上ではゼロ評価となる私道の範囲は限定的に解釈されておりトラブルとなるケースが多かった。こうしたなか、「歩道状空地」の評価をめぐり争われていた裁判で、最高裁が国税側の主張を認めた二審判決を破棄。高裁に差し戻し現在に至っている。

 

国税庁は、今回示した取扱いは過去に遡って適用されるので、これにより、過去の相続税・贈与税の申告内容に異動が生じ、相続税等が納めすぎになる場合には、所轄の税務署に更正の請求をすることで、その納めすぎとなっている相続税等の還付を受けることができるとしている。なお、法定申告期限等から既に5年(贈与税の場合は6年)を経過している相続税等については、法令上、減額できないこととされているので注意が必要だ。

 

この件については↓
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h29/takuchi/index.htm

                                                                    

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2016年11月14日 (月)

贈与と贈与税

   当事者間で贈与の意思がなくても贈与税がかかることがあります。住宅を新築して資金は父親が出したのに、息子の名前で登記したとか、息子が父親からお金を借りて「あるとき払いの催促なし」とか「出世払い」にしたというようなときは贈与とみられます。

1.贈与

個人が個人から財産の贈与を受けた場合、財産の贈与を受けた個人に贈与税がかかります。贈与税は財産の贈与を受けた場合に限らず、次のような場合も課税されます。

① 借金を免除や肩代わりしてもらった場合

② 著しく低い金額で財産を取得した場合

③ 保険料を自分以外の人が負担していた生命保険の満期金をもらった場合

④ 保険料を被相続人・自分以外の人が負担していた生命保険の死亡保険金をもらった場合

⑤ その他経済的な利益を受けた場合

2.贈与税がかからないケース

贈与により財産を取得しても次のような場合には贈与税は課税されません。

① 扶養義務者から生活費や教育費として贈与されたうち、通常必要なもの

② 社交上必要な香典、祝金、見舞金等

③ 離婚に際しての財産分与その他

④ 法人から贈与された場合(一時所得として所得税が課税される)

3.注意点

① 相続税の申告のときに、子供や配偶者の名義の預金が、亡くなった父親(夫)のものではないかとトラブルになることがあります。つまり、子供の名義の預金でも、それが父親から以前に贈与されたものなのか、それとも単に子供の名義を借りただけのものなのかということです。単に名義を借りただけということであれば、その子供名義の預金は亡くなった父親のものとして相続税の対象となります。

贈与とは他人に無償で財産を与える契約で贈与する者(贈与者)と贈与を受ける者(受贈者)の合意が必要です。

贈与した預金の通帳も印鑑も父親がもっているというのでは贈与したことになりません。贈与契約書などを作成して父親の通帳から子供の通帳へ贈与する金額を振り込み、通帳も印鑑も子供が管理し、なるべく110万円を超える贈与をして贈与税の申告を税務署に提出しておきます。

② 「現金1,100万円の贈与を10年に分けてする」のと「1年目110万円を贈与、2年目110万円の贈与、3年目110万円の贈与・・・10年たったら1,100万円贈与していた」というのとは話が違ってしまいます。つまり前者のケースでは、「最初の年に1,100万円の贈与があった」と認定されて高い贈与税を納めることになってしまいます。贈与することが、その年に決まったということが説明できるように、毎年贈与契約書などを作成する、毎年贈与の時期をずらす、金額を変える、贈与する物を変えるなどしておくと無用のトラブルを避けられます。

③ 住宅新築資金を父親が出したのに、子供の名前で登記したとか、子供名義で登記された家屋に父親が増改築をしたような場合には、贈与とされ贈与税が課税されます。また、マイホームの購入に充てるために、子供が父親からお金を借りた際、「あるとき払いの催促なし」とか「出世払い」にしたというようなときは贈与とみられます。親子間でも金銭消費貸借契約書を取り交わし、キチンと毎月返済し、返済を銀行振込みにするなどしておくと無用のトラブルを避けられます。

④ 相続開始前3年内に行われた贈与は相続税の対象となります。

⑤ 親子間で土地の貸し借りをする場合に、通常は権利金を支払う地域で権利金のやり取りがなくても、地代が無償または固定資産税相当額以下(使用貸借の場合)のときは贈与とはされません。しかし、権利金を支払わずに、通常の地代を支払っていると、借地権が贈与されたとして贈与税が課税されます。

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2016年10月18日 (火)

庭先部分のみの相続でも小規模宅地等の特例認める

  関東信越国税局はこのほど、文書回答で、小規模宅地等の特例について、家屋部分を含めた敷地ではなく敷地の一部のみ相続した場合でも、特例を適用できるケースがあることを明らかにした。この事案は、被相続人が住んでいた家屋の敷地(家屋の部分と庭先部分の二筆)について、被相続人とともにその家屋に住んでいた甲(被相続人の実子)が庭先部分の土地を、乙(甲の子供で被相続人の養子)が家屋部分を含めた土地を相続したもの。

そこで、相続後も甲が引き続きその家屋に住むこととなっている場合に、甲が取得した庭先部分の土地に小規模宅地等の特例を適用できるか否かという事前照会である。相続により取得する庭先部分の土地も被相続人の居住の用に供されていた敷地ではあるが、居住家屋に付属している庭先部分の土地の上には家屋がなく土地のみを処分することが可能であるため、小規模宅地等の特例の趣旨に照らして適用対象外となるとの疑問が生じる。

それは、同特例の趣旨が、「被相続人等の居住の用に供されていた小規模な宅地等については、一般に、それが相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないもので、相続人が居住の用を廃してこれを処分することについて相当の制約を受けるのが通常だから、相続税の課税価格に算入すべき価額を計算する上で、政策的な観点から一定の減額をすることとした」(東京地裁2011年8月26日判決等)ことにあると解されているからだ。

これについて関東信越国税局は、しかしながら、甲の庭先部分の土地及び乙が家屋とともに取得した土地は、一体として「相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で被相続人が所有していたものの敷地の用に供されていた宅地」であることからすると、庭先部分の土地は、「相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で被相続人が所有していたものの敷地の用に供されていた宅地」であると指摘。

また、相続人甲は、被相続人の親族であり、「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者」に該当する。したがって、相続人甲が庭先部分の土地を相続により取得し、申告期限まで引き続き庭先部分の土地を有し、かつ、家屋に居住している場合には、庭先部分の土地は、「特定居住用宅地等」として、小規模宅地等の特例の対象になるとの判断を示している。

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2016年9月14日 (水)

相続税・贈与税の申告に係るマイナンバー記載の留意点

1 相続税・贈与税の申告に係るマイナンバーの記載

平成28年1月1日以降の相続等により取得した財産に係る相続税の申告書の提出及び平成28年分の贈与税の申告書の提出から、マイナンバー(個人番号)の記載が必要になる。

本稿では、相続税・贈与税の申告に係るマイナンバー記載の留意点について、「国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点:平成28年7月 国税庁」及び「相続税・贈与税に関するFAQ:国税庁(以下「FAQ」とする)」を基にして確認を行う。

2 相続税の申告に係るマイナンバー記載の留意点

(1) マイナンバー記載のポイント

平成28年1月1日以降の相続又は遺贈により取得した財産に係る申告書から、被相続人のマイナンバー及び財産を取得した者のマイナンバー又は法人番号を記載して、所轄税務署長に提出することになった(マイナンバーを記載する場合は、先頭の1マスを空欄にして、右詰めで記載する)。

財産を取得した者が個人の場合には、番号法で定める本人確認のため、次のいずれかの書類を添付しなければならない。

・財産を取得した者のマイナンバーカードの写し

・財産を取得した者の通知カードの写し及び運転免許証等の写真付身分証明書の写し

なお、財産を取得した者が人格のない社団又は財産等の場合には、上記書類の添付は不要である。

(2) マイナンバー記載の留意点

相続税の申告に係るマイナンバー記載の留意点は、以下のようになる。

① 被相続人のマイナンバーが確認できない場合

被相続人のマイナンバーカード(個人番号カード)などからマイナンバー(個人番号)を確認することができない場合には、被相続人のマイナンバーを記載せずに相続税の申告書を提出して差し支えない(FAQ1-2)。

② 被相続人の本人確認書類の提示又は写しの添付の必要性

被相続人のマイナンバーは、本人確認の措置の規定(番号法第16条)の適用がないため、被相続人の本人確認書類の提示又は写しの添付は不要である(FAQ1-3)。

③ 相続税の申告書には複数の相続人等が同一の書面にマイナンバーを記載することになるが、例えば、一人目の相続人等が自らのマイナンバーを相続税の申告書に記載して二人目の相続人等に渡す行為は、番号法上の「特定個人情報の提供」に該当するか

相続税の申告書の作成に当たり、複数の相続人等がそれぞれのマイナンバーを記載するために、一の相続人等が相続税の申告書にマイナンバーを記載してその他の相続人等に渡す行為は、番号法上の特定個人情報の提供には該当しない。

また、相続人等の間での本人確認は不要である。

なお、マイナンバーを記載した相続税の申告書を税務署に提出する際は、各相続人等の本人確認書類の写しを添付する必要がある(各相続人等のうち税務署の窓口で相続税の申告書を提出する者は、本人確認書類の写しの添付に代えて、本人確認書類を提示してもよい)(FAQ1-4)。

④ 住民票の写し(マイナンバーが記載されているもの)を番号確認書類として提出できるか

住民票の写しに同一世帯の者に係るマイナンバーが記載されている場合には、相続税の申告をする者以外の者のマイナンバーをマスキングするなどの対応が必要になる(FAQ1-5)。

⑤ 相続税の申告書の控えを保管するに当たっての留意点

マイナンバーは、番号法で規定する場合以外は、他人のマイナンバーを収集又は保管することができないことから、他の相続人等のマイナンバーが記載された状態で相続税の申告書の控えを保管することはできない。

したがって、相続税の申告書の控えを保管する場合は、その控えにはマイナンバーを記載しない(複写により控えを作成する場合は、マイナンバー部分が複写されない措置を講じる)など、マイナンバーの取扱いには留意する必要がある(FAQ1-6)。

⑥ 相続税の申告書に法人番号を記載する必要があるのはどのような場合か

例えば、人格のない社団又は財団が財産を取得した場合で、当該社団又は財団が法人番号の指定・通知を受けているときに、法人番号の記載が必要になる(FAQ1-7)。

3 贈与税の申告に係るマイナンバー記載の留意点

(1) マイナンバー記載のポイント

平成28年分の贈与税の申告書(一般的に平成29年2月1日から3月15日までの間に提出)から、納税者のマイナンバー又は法人番号を記載して、所轄税務署長に提出することになった(マイナンバーを記載する場合は、先頭の1マスを空欄にして、右詰めで記載する)。

納税者が個人の場合には、番号法で定める本人確認のため、次のいずれかの書類を添付しなければならない。

・納税者のマイナンバーカードの写し

・納税者の通知カードの写し及び運転免許証等の写真付身分証明書の写し

なお、納税者が人格のない社団又は財産等の場合には、上記書類の添付は不要である。

(2) マイナンバー記載の留意点

贈与税の申告に係るマイナンバー記載の留意点は、以下のようになる。

① 住民票の写し(マイナンバーが記載されているもの)を番号確認書類として提出できるか

住民票の写しに同一世帯の者のマイナンバーが記載されている場合には、贈与税の申告をする者以外の者のマイナンバーをマスキングするなどの対応が必要になる(FAQ2-2)。

② 贈与税の申告書の控えを保管するに当たっての留意点

マイナンバーが記載された書類を保管することは、マイナンバーの漏えいのリスクを伴うことから、その控えにはマイナンバーを記載しないようにする(FAQ2-3)。

③ 贈与税の申告書に贈与者のマイナンバーを記載する必要があるか

マイナンバーの記載が必要な者は、贈与税の申告をする者(財産の贈与を受けた者)になるため、贈与者のマイナンバーを贈与税の申告書に記載する必要はない。

また、誤って記載した場合には、贈与者のマイナンバーをマスキングするなどした上で、贈与税の申告書を提出する(FAQ2-4)。

④ 相続時精算課税の適用を受けるため贈与者の住民票の写しを添付する場合、贈与者のマイナンバーが記載されていてもよいか

贈与者の住民票の写しの添付に当たっては、マイナンバーが記載されていないものを添付する。

なお、マイナンバーが記載された贈与者の住民票の写しを添付する場合には、マイナンバーをマスキングするなどの対応が必要になる(FAQ2-5)。

⑤ 贈与税の申告書付表には複数の相続人等が同一の書面にマイナンバーを記載することになるが、例えば、一人目の相続人等が自らのマイナンバーを贈与税の申告書付表に記載して二人目の相続人等に渡す行為は、番号法上の「特定個人情報の提供」に該当するか

贈与税の申告書付表の作成に当たり、複数の相続人等がそれぞれのマイナンバーを記載するために、一の相続人等が贈与税の申告書付表にマイナンバーを記載してその他の相続人等に渡す行為は、番号法上の特定個人情報の提供には該当しない。

また、相続人等の間での本人確認は不要である。

なお、マイナンバーを記載した贈与税の申告書付表を税務署に提出する際は、各相続人等の本人確認書類の写しを添付する必要がある(各相続人等のうち税務署の窓口で贈与税の申告書付表を提出する者は、本人確認書類の写しの添付に代えて、本人確認書類を提示してもよい)(FAQ2-6)。

⑥ 贈与税の申告書に法人番号を記載する必要があるのはどのような場合か

例えば、人格のない社団又は財団が財産を取得した場合で、当該社団又は財団が法人番号の指定・通知を受けているときに、法人番号の記載が必要になる(FAQ2-7)。

⑦ 教育資金非課税申告書や結婚・子育て資金非課税申告書などの申告書を金融機関に提出する場合にはマイナンバーの記載が必要か

教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与の特例の適用を受けるため、当該申告書を金融機関に提出する場合は、マイナンバーの記載が必要になる(FAQ2-8)。

⑧ 教育資金非課税申告書や結婚・子育て資金非課税申告書などの申告書を金融機関へ提出する際に本人確認書類の提示は必要か

本人確認は、金融機関において行うことになるため、金融機関へ提出する際に本人確認書類の提示等が必要になる(FAQ2-9)。

2016/09/14著者 :  中島孝一

2015年7月29日 (水)

勤め先等から受け取った弔慰金では相続税に注意!

  2013年度税制改正に伴い、相続税は、今年1月から基礎控除の引下げなどの課税強化が実施されており、できるだけ課税対象額を少なくしたいところだ。ところで、被相続人の死亡によって執り行う葬儀等の際に受け取る御霊前や御仏前といった「弔慰金」や「花輪代」、「葬祭料」などは、周知のとおり、通常相続税の対象にならないこととされている。ただし、これはあくまで通常の場合の話である。
 

例えば、被相続人の勤め先等の雇用主などから弔慰金などの名目で受け取った金銭などのうち、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分は相続税の対象となる。これ以外の部分は、被相続人の死亡が、(1)業務上の死亡であるときは、被相続人の死亡当時の普通給与の3年分相当額 、(2)業務上の死亡でないときは、被相続人の死亡当時の普通給与の半年分(6ヵ月分)相当額が、「弔慰金に相当する金額」として非課税となる。

 

これを超えた場合は、その部分に相当する金額が退職手当金等として相続税の課税対象となるので、注意したい。 つまり、弔慰金等として取り扱われたものの中に、社会通念上相当と認められる額を超える部分があるとすれば、本来その部分は退職手当金等に該当するものとして取り扱うべきものであり、上記の弔慰金等として取り扱ったものについては、社会通念上相当と認められる範囲内のものであると考えられている。

 

ちなみに、相続が発生した場合には、本来の退職金とは別に「弔慰金」が支給される場合があるが、この弔慰金等には上記のように非課税枠があるので有効活用ができる。例えば、被相続人の役員報酬が150万円/月(賞与を除く)で、死亡原因が非業務上のケースで、死亡退職金6000万円で弔慰金がゼロの場合は、当然ながら死亡退職金6000万円全額が課税対象となる(便宜上、退職金の非課税枠については考慮していない)。

 

しかし、死亡退職金5000万円と弔慰金1000万円に分けてもらった場合は、弔慰金の非課税枠が「150万円×6ヵ月=900万円」があり、退職金としての課税対象額は「1000万円-900万円=100万円」となり、死亡退職金5000万円+100万円の計5100万円が課税対象となる。このように、「退職金」だけでもらう場合と「退職金と弔慰金」に分けてもらう場合とでは、相続財産としての課税対象が900万円も違ってくるので、有効活用したい。

提供:株式会社タックス・コム

2015年4月28日 (火)

賃貸アパートなど収益物件を贈与した場合の注意点!

本年1月から相続税が大増税となったことで、改めて生前贈与での節税・相続対策が注目されている。その一つに、賃貸アパート(建物)などの収益物件を生前贈与するものがある。収益物件を贈与することで、贈与後の賃貸収入は子供のものになるので、父親の相続財産の増加を防ぐ効果があり、それに賃貸収入分をきちんと貯めておけば、後々の相続税納税資金に活用できる。ただし、借入金や預り敷金があるケースでは注意が必要となる。

贈与する賃貸アパートに、銀行等金融機関からの借入金が残っている場合がある。贈与税を計算する上での贈与財産の評価額は、一般的には「相続税評価額」となり、賃貸アパートの建物であれば、通常の取引価格(時価)よりも大分下がる。しかし、借入金が残っている状態で賃貸アパートを贈与すると「負担付贈与」となってしまい、この場合の賃貸アパートの評価額は、「相続税評価額」ではなく「通常の取引価額」で評価することになる。

つまり、評価額が高くなり、贈与税の負担が重くなる。同様に、預り敷金があるケースも要注意となる。敷金は、契約終了後は賃借人に未払がない限り返還されるものだ。建物の所有者が変わり、預り敷金の引継ぎがなかったとしても新所有者は当然に預り敷金を引き継ぐものとされている。そうすると、新所有者は建物という財産の贈与を受けると同時に、預り敷金の返還義務も引き継ぐことになる。これは法形式上、「負担付贈与」に該当する。

負担付贈与となると、相続税評価額ではなく通常の取引価格(時価)で評価することになり、また、贈与した父親にも譲渡所得が課税される可能性もある。ただし、建物の贈与と同時に預り敷金に相当する現金も同時に贈与すれば、預り敷金返還義務を承継させ(す)る意図が贈与者・受贈者間にないことになり、実質的に負担付贈与にはならないと取り扱うことができる。この場合は、譲渡の対価がないので親に対して譲渡所得に係る課税は生じない。

なお、賃貸アパートの贈与というと負担税額の大きさを懸念する向きもあるが、相続時精算課税制度を使えば2500万円の特別控除があるので、負担は大きくならない。同制度は、60歳以上の親から20歳以上の子への贈与の場合、贈与財産の価額から2500万円を限度とした特別控除額を控除した金額で贈与税を計算し、実際に相続が発生したときにその贈与財産を相続財産に合算して相続税額を計算するという制度である。

提供:株式会社タックス・コム

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    新しい税法とか、忘れがちなこととか、何度も確認したいことを記載しています。ビギナーの方にも分かるように説明できることを心がけているつもりです。 自分のノート代わりですので、正確な情報ではない場合もあるかもしれません。説明不足のところがあったり、正確でないところがあったらご指摘くだされば幸いです。

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