消費税

2017年8月 2日 (水)

クリニックの消費税

 

(1)課税事業者と免税事業者

 

事業者は国内において行った課税資産の譲渡等について、消費税等を納める義務があります。ただし、その課税期間の基準期間(前々年、法人の場合には前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者(課税事業者を選択した場合を除く)は、消費税等の納税義務が免除されています。

 

なお、その事業年度の基準期間のない資本金等が1,000万円未満の新設法人については納税義務が免除されますが、資本金等が1,000万円以上の新設法人については納税義務が免除されません。医療法人を設立する場合の基金は、資本金等には該当しませんので、基金が1,000万円以上でも設立後の2期は原則として消費税が免税になります。

 

平成25年1月1日以後に開始する事業年度については、前事業年度開始から6カ月間の課税売上高(課税売上高に代えて所得税法に規定する給与等の支払額を用いることができる)が1,000万円を超えると納税義務が免除されなくなります。

 

大規模な設備投資を行い多額の消費税等を支払った場合には、消費税等の還付を受けることができますが、免税事業者は事前に「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に届け出る必要があります。なお、平成22年4月1日以後にこの届出書を提出して100万円以上の固定資産を取得した場合などは、3年間は免税事業者に戻ることができません。

 

平成28年度の税制改正により、平成28年4月1日以後に課税事業者が簡易課税の適用を受けない課税期間中に国内における高額資産(税抜き1,000万以上の棚卸資産または調整対象固定資産)の課税仕入れを行った場合には、その取得があった課税期間を含む3年間は免税事業者となることはできず、簡易課税制度も選択できません。

 

(2)消費税の課税取引と非課税取引

 

消費税の課税対象は、①国内において事業者が事業として対価を得て行った資産の譲渡、資産の貸付け(資産に係る権利の設定、その他他の者に資産を使用させる一切の行為を含みます)及び役務の提供(その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供を含みます)、②保税地域から引き取られる外国貨物とされています。

 

したがって、開業医の診療報酬や自由診療収入・医療用機械の売却収入は、役務の提供及びその付随収入に該当しますので、原則として、消費税の課税の対象となります。ただし、医業関係では次に掲げる資産の譲渡等は非課税とされていますので消費税は課税されません。

 

                                 

①医療の給付等

                                                                    

・国保、社保の窓口一部負担金

                                                                    

・国保、社保の保険請求収入

                                                                    

・労災保険

                                                                    

・自賠責保険

                                                                    

②介護保険サービス

                                                                    

③社会福祉事業等

                                                                    

④助産

                                                                    

⑤一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付け等

                                  

 

(3)仕入税額控除

 

                                 

①原則課税

                                                                    

課税仕入れの消費税額は原則としてその全額が仕入税額控除できますが、課税売上の割合が95%未満の場合には課税売上に対応するものとして個別対応方式・一括比例配分方式により計算した消費税額を仕入税額控除します。

                                                                    

仕入税額控除を受けるには一定の帳簿と請求書等の双方を7年間保存する必要があります。

                                                                    

・診療所においては社保・国保が非課税のため、課税売上割合は95%未満がほとんどです。したがって、仕入税額控除が減少します。例えば、診療所の建物を1億円で建築して800万円の消費税等を支払っても課税売上割合が10%であれば80万円(800万円×10%)しか仕入税額控除できません。

                                                                    

②簡易課税

                                                                    

基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には原則課税に代えて簡易課税が選択できます。

                                                                    

・第5種事業(サービス業等・みなし仕入率50%)

                                                                    

自由診療収入などの診療報酬、健康診断の収入、予防接種の収入、診断書作成手数料、テレビの賃貸料収入、松葉杖の賃貸料収入、差額ベッド収入など

                                                                    

・第4種事業(飲食業等・みなし仕入率60%)

                                                                    

事業用車両の売却収入、医療機器の売却収入、食堂の売上など

                                                                    

・第2種事業(小売業・みなし仕入率80%)

                                                                    

売店の売上など

                                                                    

・75%ルール

                                                                    

診療所の場合には、一般的に第5種事業の課税売上が多く75%ルールを適用すると第5種事業のみなし仕入率50%が全体に適用されて不利になることが多いようです。


                                                                 

提供:税経システム研究所

2016年6月 1日 (水)

メーカークーポン券等の消費税の譲渡対価に注意!

   クーポン付き広告のうち、メーカーが実施するメーカークーポンと称するものは、新聞本紙、別刷り、折り込み広告の形で行われ、広告内に商品の割引券(クーポン)、見本等請求券、資料請求券が刷り込んである。クーポン方式の場合、消費者はこの部分を切り取って、クーポンを取り扱っている小売店に持参すれば、記載された金額分を店頭の売価から差し引いた価格でその商品を購入できる。

こうした場合、クーポンを持参した消費者に対する商品の販売は、店頭価格(消費税等を含んだ金額)からクーポンに記載された金額を差し引いた金額で行われるが、実質はクーポンと引換えにメーカーが行うキャッシュバック相当額を小売店が立て替えているのと同様であり、小売店は、メーカーから補てんされる金額を差し引いた金額を消費者に請求しているだけとなる。したがって、商品の店頭価格を対価とする資産の譲渡に該当する。

また、無料で配布されるクーポン券等のうち、顧客の購買データをポイント化して自店のみで使用できるお買物券等の金券や、店頭の前で配布されるお買物券などを発行するケースがある。これら、その小売店だけで使えるクーポン券等を利用して買物をした場合に、そのクーポン券等の券面金額を差し引いて支払う場合には、「実際に顧客から受け取る金額(値引き後の金額)」がその商品等の譲渡の対価の額となる。

例えば、2000円の商品を購入する際に、1500円分のクーポン券と500円の現金が支払われた場合には、500円が譲渡の対価の額となる。つまり、「実際に顧客から受け取る金額(値引き後の金額)」がその商品等の譲渡の対価の額となるわけだ。また、事業者がクーポン券等を自ら作成し、顧客の購買金額に応じてクーポン券等を作成する行為は、無償の取引であり資産の譲渡等には該当しない。

なお、販売されている商品券については、商品券の購入によってあらかじめ現金を受領しているため、その商品券と現金を合わせて支払った場合でも、課税資産の譲渡等の対価の額は「商品の店頭価格」となる。例えば、税抜き価格1万円の商品(課税資産)を1000円分の商品券と現金9000円で支払った場合、現金9800円・預り金1000円/商品10000円・仮受消費税等800円の仕訳で処理することになり、譲渡等の対価の額は1万円となる。

提供:株式会社タックス・コム

2015年9月 5日 (土)

相続で事業を引き継いだ場合の消費税納税義務に注意!

 相続で事業を引き継いだ場合、特に相続人が事業を行っていなかったり、免税事業者だった場合には、消費税の申告納付をする必要があるのかどうか迷うことも少なくない。消費税法第10条第1項には、納税義務のない相続人が相続によって事業を承継した場合、相続した人ではなく、亡くなった被相続人の基準期間(原則、その年の前々年)にどれだけ課税売上があったかで納税義務の有無を判定する旨が定められている。

 

つまり、相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1000万円を超える場合は、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの納税義務は免除されない。一方、相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1000万円以下である場合は、相続があった年の納税義務は免除される。ただし、この場合であっても、相続人が課税事業者を選択しているときは、納税義務は免除されない。

 

ところで、相続では法定相続人が2人以上のケースはよくある。例えば、消費税の納税義務を判定する基準期間の課税売上が1500万円の事業を、過去において課税売上はない法定相続人2人が相続し、遺言はなく、被相続人が亡くなってから遺産分割が完了するまでは相続人が共同で事業を営んでいたケース。結論からいうと、その相続人は相続があった年分の消費税について納税義務はなく、来年分の消費税から納税義務が生じることになる。

 

消費税基本通達には、遺産分割が実行されるまで、2人以上の相続人により共同して事業を承継していた場合は、亡くなった人の基準期間の課税売上に、共同して相続した相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額とする旨が定められている。この通達に従うと1500万円に各相続人の法定相続分である2分の1を乗じた750万円が相続人2人の基準期間の課税売上となり、納税義務の判定基準である1000万円未満となるため納税義務はない。

 

たとえ、相続した年のうちに片方の相続人が事業については全部相続することが決まったとしても、被相続人が亡くなった直後は誰が事業を相続するか分からず、上記の通達に従って2人とも納税義務はないと判定される。その後同じ年に、片方の相続人が事業の全てを相続するとしても、消費税の納税義務については納税者が事前に予知できるようになっていなければならないことから、そこで再判定を行う必要はないとされている。

 

ただし、次の年については、課税期間の初日である1月1日の前日の段階では、片方の相続人一人が事業を承継されているわけだから、上記の消費税法第10条が適用されて、前年の被相続人の課税売上1500万円が基準期間における課税売上となる。したがって、基準期間の課税売上が1000万円を超えて納税義務者となることが事前に確認できているので、当然に納税義務が生じることになる。

提供:株式会社タックス・コム

2014年6月 5日 (木)

簡易課税制度の旧仕入率の特例措置

 平成26年度税制改正で消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、金融業・保険業の仕入率が60%から50%に、不動産業が50%から40%に見直さ れた。この改正は、27年4月1日以後開始課税期間について適用されるが、本年“9月30日”までに、簡易課税制度選択届出書を提出した場合、簡易課税制 度が強制適用される2年間は27年4月1日以後開始課税期間であっても、旧仕入率が適用される経過措置が設けられている。
                                 

例えば、今期において一般課税を適用していた3月決算法人が、翌期から簡易課税制度を適用するものとして本年9月30日までに届出書を提出した場合、簡易 課税制度が強制適用される28年3月期・29年3月期は、旧仕入率が適用される。ただし、この措置は、あくまで簡易課税制度の強制適用期間での特例のた め、25年3月31日以前に届出書を提出し26年3月期から簡易課税制度の適用を受けている場合、“本年9月30日までに届出をしている”ことにはなる が、27年4月1日以後開始課税期間は、簡易課税制度の強制適用期間に当たらないため、改正後の新仕入率が適用される。

                                 

また、新たに事業を開始した場合、簡易課税制度選択届出書を課税期間中に提出すれば、その課税期間から簡易課税制度を適用することができる。この場合も、 届出書の提出日が9月30日までか否かにより経過措置の適用関係が異なる。例えば、26年6月1日に不動産業を開始する3月決算法人が、9月30日までに 届出書を提出した場合、27年3月期(26年6月1日~27年3月31日)から簡易課税制度の適用を受けることができるとともに、その課税期間の初日から 2年を経過する日(28年5月31日)までの間に開始する課税期間、つまり28年3月期、29年3月期も第5種(みなし仕入率50%)に分類される。他 方、届出書の提出日が26年10月1日~27年3月31日までの間の場合は、27年3月期については第5種(みなし仕入率50%)となるが、経過措置の対 象外であるため28年3月期から新法に基づき第6種(みなし仕入率40%)に該当することになる。

                                 

届出書の提出に関するトラブルが実務ではよくみられることから、適用関係に注意をしておきたい。

                               
                               

提供:税務研究会・税研情報センター

2014年2月27日 (木)

たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合

  事業者がたまたま土地の譲渡をすることは少なくないが、そうしたケースでの消費税には注意が必要になる。というのも、土地の譲渡は非課税売上だから、簡易課税制度の適用を受けていない、原則課税の消費税の納税義務者の場合には課税売上割合が例年より極端に下がって、その期の消費税の納付額が増えてしまうことになる。納得のいかないことになるが、消費税法には、そうした場合での救い道がある。

実はその土地の譲渡が単発で、土地の譲渡がなかったとした場合に事業の実態に変動がないと認められる場合には「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」というものを提出することができる。承認を受けると、その期の消費税の計算において、土地の譲渡を含む本来の課税売上割合に代えて、承認を受けた課税売上割合に準ずる割合を適用することとなるのだ。

ここでいう「消費税課税売上割合に準ずる割合」とは、(1)前期以前3年間の通算課税売上割合、(2)前期の課税売上割合、のいずれか低い割合をいう。また、「土地の譲渡がなかったとした場合に事業の実態に変動がないと認められる場合」とは、事業者の営業の実態に変動がなく、かつ、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内である場合をいう。

同適用申請書の提出期限は、承認を受けた日の属する課税期間とされている。承認審査には一定期間を要するので、期末に向けて余裕を持って提出する必要がある。土地を譲渡してせっかくまとまったお金が入ってきたと思ったら、消費税の納付で思わぬ出費という事態は避けたいところ。注意点としては、この申請書を提出する事業者は消費税額の計算方法として個別対応方式を採用している必要がある。

したがって、前期が2年継続適用要件のある一括比例配分方式を採用した1年目に当たる場合には、残念ながらこの申請は認められない。来期に土地の譲渡を予定している課税事業者は、消費税の計算方法は慎重に決める必要がある。会社によっては、一歩間違えれば消費税の納付額に大きな差が出てしまうことになる。土地の譲渡を検討する場合には、事前に十分に留意しておきたい点だ。

2013年12月 5日 (木)

消費税の新免税点制度の再確認

<消費税>

消費税の取扱いでは、事業者のうち、その基準期間(申告事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1千万円以下の事業者は、原則として免税事業者に該当するが、2013年1月1日以後に開始する年または事業年度については、基準期間の課税売上高が1千万円以下であっても、「特定期間」の課税売上高が1千万円を超えた場合には、課税事業者となるので注意が必要となる。

「特定期間」とは、個人事業者の場合は、その年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間である。例えば、来期の基準期間である前期の課税売上高が1千万円以下だった場合でも、当期の中間決算における課税売上高が1千万円を超えることとなったときは、特定期間の課税売上高が1千万円を超えた場合に該当するので、来期は課税事業者となる。

新しく設立した会社については、これまで基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目については原則として免税事業者扱いということになっていたが、2013年1月以降は、特定期間の課税売上高が1千万円超であれば、新設会社であろうとも設立2期目から課税事業者になる。ちなみに、事業者免税制度の適用の可否を特定期間で判定する場合には、課税売上高と支払給与額のいずれか有利なほうを事業者が任意に選択できる。

特定期間の課税売上高が1千万円を超えていても、給与等支払額が1千万円を超えていなければ、例えば、課税売上高が1050万円、支払給与額が950万円の場合は、支払給与額で判定すれば事業者免税点制度が適用できることになる。特定期間における課税売上高に代えることができる支払給与額は、課税対象とされる給与、賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当や旅費等は該当しない。

また、特定期間中に支払った給与等の範囲については、(1)未払額は含まれない、(2)退職手当は含まれない、(3)使用人に対して無償または低額の賃貸料で社宅、寮等を貸与することにより供与した経済的利益で給与所得とされたものは含まれることに注意する必要がある。

提供:株式会社タックス・コム

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このジローの大学ノートについて

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    新しい税法とか、忘れがちなこととか、何度も確認したいことを記載しています。ビギナーの方にも分かるように説明できることを心がけているつもりです。 自分のノート代わりですので、正確な情報ではない場合もあるかもしれません。説明不足のところがあったり、正確でないところがあったらご指摘くだされば幸いです。

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